シングルの4級テスト課題のツイズル 投稿日:2019年 5月14日(火)03時28分9秒
そもそも、ツイズルとは何か?からこの話は始まります。
ISUの定義では、「1回転かそれ以上、素早く連続的に(途切れることなく)回転しながら進む、片足でのターン。」とあります。
さらに、説明では「チェックのある(回転を止める)スリーターンを続けて行う事は、連続した動きでないので、許されない。ツイズルの実行中に移動が止まった場合には、ソロ・スピン(ピルエット)となる。」と続きます。
ダブルスリーと1回転のツイズルの違いは、この「チェックがあるか」です。(ダンスの解説で、東野さんが「チェックドスリーになってしまったのでレベルが取れない」等とおっしゃっているのはこれです。)
では「チェック」とは何か?
ISUの定義にはありませんが、「肩と腰を捻り、さらに捻り返しを使ってターン時の体の回転をコントロールする方法」と私は考えます。
つまり、上半身(肩)は連続的に回っていても腰を捻るので捻り返しによってターンの前後に腰の回転が止まり、下半身の回転が不連続になる。これがチェックドスリーです。
本来のツイズルは腰も連続的に回転するので、体全体がスピンのように回って見える。
それなら、スピンでトラベリングするのがツイズルなのでしょうか?
いえ、「ターン」しなければ定義と合致しません。ターンの定義はエッジがフォア/バックで変わる事なので、ループのようにエッジが変わらないで回転する動作はターンとは認められない。
(訂正:ISUの定義では、ループも「ターン」として認められている。)
腰を捻ってチェックするのではなく、股関節と足首の廻旋動作だけを使ってターンを押さえています。つまり、エッジのトレースだけを見るとスリーの連続と同じ。
※厳密には膝と足首のUP/DOWNを使わないでべた足で回るので、トレースの幅は浅くなる
体幹部の捻りが使えない分、ターンを押さえるのはより難しくなります。これが「ジャンプより難しい」などと形容されるツイズルの難しさです。
さて、本題に戻り、「シングルの4級テスト課題のツイズル」について。
4級エレメンツにツイズルが入ったのは、2008年度の大幅改正からです。この時はフォアのツイズルは3回転以上、片足でのチェンジTW(2回転+2回転)もありました。(チェンジは難しすぎるので翌年になくなった)
この時の図は、ちゃんとエッジがターンしている(2回転だとターンの山が4個ある)ように描かれています。
ところが、翌年にテスト課題が見直された際に図が書き換えられ、ターンしないでループを2回(つまりトラベリングしているスピン)している図になってしまった!!
話を聞くと、「2回転のツイズル」を表現したいので「2回、回る」になったらしいです。
これが誤解の元。「ツイズルとは、スピンのトラベリングで良い」という解釈が当然のように生まれます。
連盟の方に話を聞くと、地方のテストでは、正しいツイズルをしているにも関わらず、「エッジがターンしているので図のループになっていない!」と言って落とされた人が
いるらしいです。
このような混乱は最近まで続いていましたが、2016年度版では説明図が元の「ターンしている図」に戻りました。
がしかし、「スムースで、角がないように、回転しながら進む」と注釈に書かれているので「ターンしないで回るのが正しい」と思う人はまだいるようです。
ベテランジャッジお二人に話を聞いたところでは、少なくとも都連ではループの連続はツイズルとは認められないとの見解でした。(ひどくなければ程度判断)